2025.11.28
吹奏楽団K.T
私は慶早戦の12:25が大好きです。なぜなら、この時間に塾旗・校旗入場が行われるからです。全世界のどの野球場を見渡しても、内外、1・3塁側に旗が入場し、合計8旒も掲揚されるのは慶早戦だけです。塾旗入場はもちろん物凄くかっこいいですが、それだけではありません。
塾旗・校旗入場とは、絶対に負けることができない伝統の一戦の前に、自校の素晴らしさと相手校へのリスペクトを感じる時間であると考えています。自校のスタンドを通り抜ける塾旗や、相手側のスタンドを通り抜ける校旗には、それぞれの学校が歩んできた歴史や大切にしている理念、数々の名場面の記憶が残されています。また、塾旗の下に集う塾生や塾員、校旗の下に集う学生や早大OBには、それぞれの何万通りもの思い出が詰まっています。これらを全て一つのシンボルとしてまとめているのが塾旗・校旗です。塾旗・校旗入場とは単なる旗の入場ではなく、早慶両校の誇りと伝統を象徴する行事です。
塾旗入場はとにかくかっこいいです。
陣中見舞いが終わり、音没になった応援席のざわついた雰囲気の中、旗手はベルトをつけて入場の準備をします。そして、マイクの司会を機に、球場の雰囲気が一気に変わり、塾旗の入場が行われます。
吹奏楽団の演奏する塾歌ファンファーレに合わせて、三塁側スタンドの最上段にて塾旗が掲揚されます。その後は慶應讃歌の前奏に入り、曲の歌い出しと同時に歩き始めます。まずは階段を下ります。ここが塾旗入場の華です。神宮球場の階段は段差が均等ではなく、難しいです。一歩ずつ、慎重に、力強く進んで行きます。この際はスタンドの方々からかっこいい、重そう、頑張れ、など様々な声が聞こえてきます。階段を無事に下り切り、今度はスタンドのブロック列を横断します。距離が長いため、曲のテンポに合わせて確実に一歩ずつ進んで行きます。そして最後の角を曲がり、緩やかな階段を経て目的地となる旗手台へと進んで行きます。個人的にはここの最後の階段部分が一番好きです。こうして長い塾旗入場の道のりもようやく終わります。固定旗と合流し、内外それぞれ2旒ずつ掲揚される塾旗の姿は圧巻です。
一方で1塁側で行われる校旗入場も大変かっこいいです。何と言っても早稲田の栄光と太鼓乱打は反対側から聞いていて鳥肌が立つくらいかっこいいです。塾旗入場との違いも印象的です。代表委員主将が先導を行い、校旗付きがフラグを後ろ側から掴んでなびかせながら堂々と入場していく校旗も、これもまたかっこいいです。早稲田大学に敬意を払い、慶應義塾との違いを尊重し、新しい視点から伝統の一戦の素晴らしさを感じることができます。
私は塾旗・校旗入場が大好きです。本番に向けてコンディションを整える力、緊張やプレッシャーに打ち勝つ力、憧れの物に挑戦していく精神力、塾旗入場は私を一人間として大きく成長させてくれました。今後の人生は、私も先導旗のように、強く、勇ましい人間でありたいと思います。
明治神宮野球場が新しい姿に生まれ変わっても、慶早戦が続く限りは、塾旗・校旗入場の伝統が一生続くことを願います。



