2025.11.28
チアリーディング部R.W
令和七年度 育成責任者・広報責任者を務めております、慶應義塾体育会應援指導部 チアリーディング部のW.Rです。
應援指導部引退ブログのページを開いてくださった皆様、ありがとうございます。
未だ実感は湧きませんが、とうとう引退ブログを執筆する番がやってきてしまいました。この代のトリにふさわしい文章を綴れるかは分かりませんが、應援指導部というかけがえのない場所で過ごした四年間を、いくつかのターニングポイントを通して振り返りたいと思います。
【入部のきっかけ】
入部理由は、少し特殊だったかもしれません。
①生演奏の中でのパフォーマンスを通して他者に想いを届けられること
②縦と横の繋がりを実感しながら仲間と共に努力できる環境があること
この二つに大きな魅力を感じ、私は應援指導部の門を叩きました。
幼い頃から舞台芸術に心惹かれ、中高6年間はミュージカル部に所属していました。100人近い仲間と一つの作品をつくり上げる過程は、苦しさも喜びもすべてが濃密で、部活中心の毎日でした。楽器の生演奏で空気が震え、言葉が会場を満たし、観客の反応が舞台を完成させる。そんな、人と人が一つの空間を共有することで心が満たされる、舞台芸術というものが本当に好きでした。
そして迎えた最後の学生生活。この貴重な4年間を、どう過ごすべきか。将来は舞台芸術を支える仕事がしたい、という漠然とした夢を持っていた私は、大学では真剣にその為の学びをしよう、とも思っていました。
しかし、春のキャンパス新歓での應援指導部のステージ。まさに「人と人が一つの空間を共有することで心が満たされる」体験でした。幼い頃から文化芸術の分野ばかりで興味関心を深めてきた私にとって、應援指導部はまさに未知の世界。にもかかわらず、こんなにも心が震え、熱くなる空間があったのか、と大きな衝撃を受けたのを覚えています。
それ以降、「ここで4年間を過ごしたい」という思いが強くなり、應援指導部への入部を決意しました。今振り返っても、あの時の直感は正しかったと確信しています。
【応援指揮という挑戦】
2年生の時、大きな転機となったのが「応援指揮」への挑戦でした。チアリーディング部の女子部員としては、同期の中で一人。最初はただの憧れから始まった挑戦でしたが、今振り返ると、それは「自分の存在意義を見つけたい」という思いの表れだったのだと思います。
私の同期は、一人一人が本当に誇れる人ばかりです。技術に優れた人、場をまとめる人、誰にでも思いやりを向けられる人。それぞれが自分の強みを活かして部やチームを支えていて、そんな仲間達に刺激を受ける一方で、「この中で自分には何ができるのだろう」と考えることが多くありました。特に下級生の頃は、高い技術力や傑出したスキルがぱっと出てこない私でも、この部や同期の為にできる働きは何か、常に答えを探していました。他の同期のブログにもありましたが、應援指導部にいると、「応援席での存在意義を考える」ことが少なくありません。しかし私は、応援席よりも、チームの中・部の中での自分の存在意義に悩んでいたような気がします。
応援指揮を始めた当初は、正直、体力的にも精神的にも苦しい日々でした。男子部員と同じようには振れず、理想とのギャップに悩むこともありました。それでも、このツールを通して出会ったのは、慶應の応援の美しさと奥深さでした。選手の気持ちと観客の想い、そして応援席が一体になった瞬間、台上で感じる高揚感は、何物にも代え難いものでした。特に印象に残っているのは、この秋の野球の慶早戦。 最後に応援指揮を振る「『土曜3回』で絶対点数入れる」と応援目標に書いていたのですが、それが本当に叶った瞬間、言葉にならない感動がありました。あの時ほど、「言霊ってあるんだな」と思ったことはありません。笑
また、このツールを通して、応援席の皆様との繋がりを感じることができました。スーツで応援指揮を振った後、踊りの衣装に着替えに向かう際、通路で「今日も良かったよ!」とあたたかく声をかけてくださる皆様に、何度も救われていました。
「女性だからこそ」「私だからこそ」表現できる応援の形を探し続けた3年間。決して完璧ではありませんでしたが、自分なりの答えを少しずつ見つけることができました。同時期に始めた吹奏楽団の二人、そして技術・精神の両面で多くを教えてくれたチアリーディング部の二人には、心から感謝しています。 「自分の存在意義を見つけたい」という想いの延長線上に、私なりの部への関わり方を見つけることができました。この挑戦を選んで、本当に良かった!
【育成という仕事】
この4年間で、私が最も多くの時間を注いだのが育成の仕事でした。
2年生の春から、気づけば毎年この管轄に携わってきました。
最初のきっかけは、入部当初にお世話になった先輩方の姿でした。自分もいつか、あの方たちのように下級生の力になりたい――そう思って始めたものの、実際は想像以上に難しく、時に息苦しさを感じることもありました。入部して間もない1年生のサポートをしながら、自分自身のことで精一杯になることも多く、キャパシティの限界を感じることもありました。自分よりもずっと優秀で自立した後輩たちを前に、「支えて『あげよう』」という気持ちがむしろ烏滸がましく感じられる時もありました。それでも、部のためにできることを見つけられた嬉しさは大きく、少しずつ育成という仕事にやりがいを感じるようになりました。
3年生の春、新歓活動に本格的に関わらせていただいたことが、私の中で大きな転機となりました。新入生一人ひとりの入部理由を聞く中で、「應援指導部に惹かれる理由」は本当に人それぞれであることを知りました。
私自身、多くの部員が言う「踊りをやりたい」という気持ちとは少し別のところに入部理由やモチベーションがありました。そのせいか、チームに対して後ろめたさを感じることが少なからずありました。それは、日々の練習でもそうですし、応援活動においてもです。しかし、この新歓活動を通して、自分自身の「この部にいる理由」を、前向きに受け入れられるようになりました。
「踊りたい」「人の役に立ちたい」「何かを変えたい」きっかけは様々ですが、そのどれもが正解で、本当に素敵なものです。そしてその多様さこそが、この部の良さであり、魅力なのだと気づくことができました。
そして迎えた4年生。 育成責任者という役割を務めた1年は、悩みの連続で、心の整理がつかない日も多くありました。
私はもともと人に積極的に話しかけるのが得意なタイプではありません。 理想とのギャップに悩む事も多く、下級生からの相談事が他の四年生に向かった時、ふと「自分の存在意義ってなんだろう」と感じることもありました。
思い返せば、常に「こうありたい」自分と、現実との乖離に悩み続けた1年間でした。こんな風になりたい、こんな事をしたい、という理想が膨らむ一方で、それを達成できない自分の弱さと向き合う事が、本当に怖かったです。役割決めの際の他己分析で、「もっと自信を持って自分の話をしていい」と同期にも言ってもらいましたが、私にとって、 「自分の話を積極的にすること=あえて目を背けている自分の弱さに向き合うこと」でもありました。それが、怖かったのだと思います。
しかし、そんな時にいつも支えになってくれたのは、他でもない同期や下級生の存在でした。
自主練を頑張る同期の姿、スタンツが成功したときの歓声、器材準備をする下級生の真剣な表情、応援中に交わしたアイコンタクト。
皆が全力で、真摯に活動に臨む姿の一つひとつが、いつも私の心を前に進ませてくれました。
もう一つ、私にとって大きかったのは、部員全員との面談です。役割上、部門責任者のYと共に、チアリーディング部全員と1on1を行う機会がありました。数日間かけて一人一人の考えを聞く中で、それまで知らなかった皆の想いを知り、嬉しさと同時に、このチームの為に出来ることをしたい、と強く感じました。
素敵な想いを持って入部した皆が、引退する時に、「この部に入った選択は正解だった」と胸を張って言えるように。どんなに辛いことがあっても、「この部の為なら頑張れる」と思えるように。その為に、自分に出来ることを精一杯やってきたつもりです。
常に熱く、周りを鼓舞できるようなタイプではない。技術的な面でチームを引っ張ったり、どんと構えられるような冷静さがある訳でもない。それでも、「人は宝」という言葉を、少しでも体現できるような働きが出来ればと思い、1年間走り続けてきました。
この部の一人一人が自分の良い所を沢山見つけて、それを他の皆で大切に守れるような、その為の力添えが少しでも出来ていたら良いな、と思います。
上級生の方々へ
この部活を通して、本当に沢山の素敵な先輩方と出会い、その姿勢や思いに触れながら成長することができました。特に最後の一年は、先輩方がどれほど大きな存在であり、どれほど計り知れない努力と覚悟をもって活動されていたのかを、身をもって感じる日々でした。どんな時も背中で示してくださり、私たち後輩が迷ったときには言葉を尽くして支えてくださったこと、心から感謝申し上げます。いただいた学びと想いを胸に、残り少ない引退までの日々を、全力で駆け抜けます!本当にありがとうございました。
下級生のみんなへ
素敵な才能に溢れた皆から、沢山のことに気づかせてもらえた3年間でした。人見知りな私は、皆に一言喋りかけるのにもいつも心の準備が必要でした。だから、皆の方から話しかけてもらえた時はすごく嬉しかったです。
常にひたむきで一生懸命な皆だから、これから悩むこと、上手くいかないことも沢山あると思います。それに、これだけ多様なバックグラウンドを持った人が集う環境にいると、どうしても自分の出来ないこと・苦手なことが目についてしまう瞬間があると思います。そんな中でも、じっくり4年間かけて、自分の好きなことや得意なことを一つでも見つけられたら、それで十分なんじゃないかな、と思います。
チームの皆や、これから應援指導部の門を叩いてくれる子たちに、常に思いやりとリスペクトの気持ちを持って、これからも頑張ってね!
同期へ
仲良しの代、と言ってもらえることが多かったけど、本当にその通り!引退を控えた今、みんなが同期で本当に良かった、と改めて思います。
特に4年生になってからは、それぞれの持ち場でみんなが物凄いパワーを発揮している姿を見ることができて、いつも元気をもらっていました。
心配性で突っ走ってしまいがちな私に、いつも優しく向き合ってくれて、辛い時には声をかけてくれて、本当にありがとう。あたたかい心を持ったみんなの事が、本当に大好きだし、大切です。
これからも美味しいもの見つけたら遠慮なく教えてね😻
友人たちへ
皆がそれぞれの場所で頑張っている姿が、何よりも私の原動力になっていました。
どんなに大きな壁にぶつかっても、それを登ったり、はたまたぶち破る勢いでチャレンジし続ける姿を、お互いに応援し続けられていること。最近、それがどんなに幸せなことだろう、、と改めて感じています!おばあちゃんになっても、みんなが活躍し続ける姿をずっと見ていたいし、私も見せられるよう頑張ります!沢山お話を聞いてくれて、本当にありがとう。
家族へ
入部してから今まで、1番お世話になったのは間違いなくみんなです。
部活が辛くて泣きながら帰ってきた時、美味しいご飯やお菓子を用意して話を聞いてくれたこと
ほぼ全ての応援席に来て、沢山の素敵な瞬間をカメラに収めてくれたこと
早朝や夜遅くの練習の時には、車でお迎えに来てくれたこと
他愛もない同期とのエピソードを、まるで当事者のような距離感で夜中まで聞いてくれたこと
私が暗い言葉を口にしていた時、明るく檄を飛ばしてくれたこと
辛い時も楽しい時も、いつも1番の味方でいてくれて、親身になって寄り添ってくれたこと、私は一生忘れません。
こうして振り返ってみても、なかなか自立は出来ていないと思うけど、、これからもみんなを頼りつつ、この4年間で受けた愛を倍にしてお返しできたらと思っています。
本当にありがとう。
第75回定期演奏会まで、残り3日となりました。
部員一同、お越しくださる皆様に最高のステージをお届けできるよう、最後の仕上げに取り掛かっている真っ最中です。
「歴代最強」のステージをお届けできますよう、そして、お世話になった全ての方々へ、ありったけの愛と感謝をお伝えできますよう、最後の一日まで全力で挑み続けます!

